「冬はつとめて」
清少納言の随筆「枕草子」のワンフレーズです。現代語に訳すと、「冬の季節は早朝がいい」という意味になります。
朝晩が冷え込み始め、お布団が恋しい季節となりましたが、朝早めに起きて、散歩に出かけると、新鮮な冷たい空気が心地よく、気持ちを引き締めてくれます。
季節は立冬を過ぎ、冬至まで日照時間がどんどん短くなっていき、18時には外は真っ暗。夜の時間が長くなりましたね。寒さが厳しくなるこの季節、自然界の動物はエネルギーの消費を抑えるため「貯める」時期に入ります。
ネイティブアメリカンは、満月に名前を付けていて、11月の満月は「ビーバームーン」と呼ぶそうです。北米に生息するビーバーが、11月になると寒い冬を越すために巣作りを始めることからその名が付いたそうなのですが、ビーバーは冬眠しない動物で、この時期に蓄えた木の枝を食べて、約半年にも及ぶ暗く寒い冬を生き抜くのだそうです。
このように冬眠をしない動物も自然界においては、籠る時期。人間も本来は体も心も休めた方がいい季節。夏のように積極的に行動するよりも、栄養を蓄えたり、静かに過ごしたりする方がいいといわれています。冬に太ってしまうのは、自然の摂理なのかもしれません(笑)
現代人は仕事を休むわけにはいきませんが、いつもよりは「ゆったり過ごす」意識を持つのが健康を考える上では大切なことです。
冬は中医学では五臓のうち「腎」と関係が強い時期と考えられています。腎は人間の生命エネルギーを司る臓器。冷えから腎の働きが低下すると、低体温になり、免疫力が低下します。膀胱の働きも落ち、尿の排出が遅れ、解毒が滞るので、疲れやすくなったり、むくみの原因になったりします。ホルモン系にも関わるので、女性は生理不順になったり、骨粗しょう症など老化を早めたり、また自律神経にも影響するので、気分が沈みがちになったりします。冬の冷えを侮るなかれ。しっかりと冷え対策を心掛けましょう。
さて、食養生についてですが、腎を守る色は黒。黒い食材を摂るといいと言われています。黒ゴマ・ひじきなどの海藻・黒きくらげ・黒豆・黒米などを積極的に摂ることをお勧めします。
それと大切なのは、やはり旬のお野菜をいただくこと。スーパーに行くと季節関係なく、いろんなお野菜が並んでいますが、
トマトやキュウリなどの夏野菜を特に生で食べると身体が冷えるので、できるだけ避け、大根や白菜などの冬野菜を多く摂るように心がけましょう。
ここで恒例のクイズです!
次のうち冬野菜はどれでしょう?
①かぼちゃ
②冬瓜
③ほうれん草
④小松菜
⑤レタス
⑥れんこん
⑦かぶ
⑧ブロッコリー
⑨セロリ
⑩ゴボウ
①かぼちゃの収穫は夏。ですが、2~3か月置いておく方が甘みが増すので、秋冬野菜とされています。冬至の日に食べるという習わしがありますよね。
②冬瓜は冬という字を書きますが、夏に収穫します。冬になるまで日持ちがするというところから冬瓜と名付けられたのだそうです。ちなみに大きめの冬瓜を購入し、余ったものをカットして冷凍しておけば、使いたい時に、解凍せず、そのまま煮物に使えて便利です。
③のほうれん草は冬野菜。厳しい寒さの中で育ったほうれん草は栄養価も高く、甘みが増して、おいしいです。夏にもほうれん草はありますが、夏のほうれん草には硝酸態窒素が多く含まれているので、あまりお勧めではありません。
⑤レタスとセロリは地域や標高によって、その旬は異なります。冬場はサラダよりもスープでいただくことをお勧めします。
⑥⑦⑩の根菜類は食物繊維も豊富で、身体を温めてくれる野菜なので、積極的に摂りたい食材です。
現代では、海外から輸入されたり、ビニールハウスを使って育てたりして、いつの時期にもいろんな野菜が食べられるようになって、食卓が豊かになりましたが、自然界の中でのバランスを考えると、その土地のその季節に摂れたものをいただくのが一番身体に合うのではないでしょうか道の駅や産直のお店に行くとそういったお野菜が並んでいますので、たまには。少し郊外に足を延ばして、季節を感じてみられたらいかがでしょか?
AgriPouther®を使って家庭菜園にチャレンジされる方は、この時期、ほうれん草・小松菜・ルッコラなどの種まき、そら豆・さやえんどう・玉ねぎなどの苗植えなどが適しています。寒いので、成長はゆっくりかもしれませんが、虫害がないので逆に育てやすいかもしれません。自分で育てたお野菜は格別です。ぜひ育てる楽しみも味わいながら、厳しい冬を楽しく乗り越えましょう。
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