小さな精霊たち~微生物と私たちは運命共同体~

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以前、微生物についてコラムを書かせていただきましたが、今日はその続編です。

前回のコラムはこちら

そして、この間に地球Laboでは、微生物の働きを活かしたコンポストの販売をスタートさせました。詳細はこちら

さて本題に戻りますが、前回のコラムで書いたように、微生物は空の上から深海まで、いたるところに存在しています。もちろん私たちの身体の内外に微生物は存在しています。常在菌とか腸内細菌という言葉を一度は聞かれたことがあると思います。そういう「菌」と名の付いているものはすべて微生物の仲間です。目には見えませんが、私たちの身体にはたくさんの菌が存在しています。

私たち人間は、おかあさんのお腹の中にいた頃は無菌状態ですが、生まれてきてから数時間で腸内細菌が確認され、数日後には1000億個に増えていきます。その後もどんどん増え、大人になると、その数は100~1000兆個に及びます。私たち人間の細胞よりはるかに多いです。

体内の常在菌の中で最も重要なのが腸内細菌であり、3歳までに作られる「腸内細菌叢」と呼ばれる腸内細菌のかたまりが、その人の一生の健康状態などをほぼ決定するほど重要なのだそうです。

腸内細菌叢は腸内フローラとも呼ばれていますから、そちらの方が聞きなじみがあるかもしれません。腸内の菌たちは、菌種ごとにお花畑のようにぎっしり並んで腸壁に張り付いています。

ネイチャーに掲載されたイギリスの研究では、「自然分娩児は母親の腸内に生息する細菌を獲得している一方、帝王切開児は病院に由来する「日和見病原菌」が定着していることが判明した。日和見病菌は直ちに害を及ぼすわけではないが、免疫系が低下したり、細菌が体の他の部位に移動したりした場合に病気を引き起こす恐れがある。「と発表しています。さらには、「出産時に母親が抗生物質を服用していた場合とそうでないとでは、新生児にみられるヒト常在細菌叢(マイクロバイオーム)として知られる腸内環境に違いがあることもわかった」とのこと。

私たちはいかに菌、微生物の影響を受けて生きているかということがこの研究でもわかります。

腸内細菌は、ただ良いウンチを出すためだけに存在するのではなく、

①          食物の消化・吸収を助ける

②          必須アミノ酸・必須脂肪酸・ビタミン・ミネラルなどの栄養素の供給

③          病原菌の侵入を防ぐ

④          有害物質(農薬・添加物・発がん性物質・放射能など)の分解

⑤          免疫を活性化させ、感染を予防、かゆみなどの炎症やアレルギー疾患などを抑制

⑥          神経伝達物質の産生を助け、神経系や大脳活動の調整。

⑦          腸管運動の調整(下痢・便秘予防)

⑧          脂質代謝を活性化

⑨          消化できない食物繊維の分解

⑩          エネルギーの供給

など、数多くの役割を担っています。腸内環境がいい状態だと大活躍ですが、悪い状態だとこれらの役割を担ってくれないので、人の身体は健全に保たれなくなってしまいます。

腸内細菌は善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3つに分類されますが、いい腸内環境というのは、この3種類の菌のバランスと多様性で決まると言われています。

悪玉菌も0より10%程度存在する方がよく、悪玉菌は悪玉菌の役割があるようです。ドラえもんにはジャイアンが必要不可欠なのと同じですね(笑)

ちなみに、スネ夫のように形勢を見ながら有利な方に付こうとするのが日和見菌。全体の60~70%はこの日和見菌で、悪玉菌が優位になると一気に加勢するのです。

善玉菌は腸の中で発酵活動をしますが、悪玉菌は腐敗活動をします。ウンチが臭い方は悪玉菌優位になっているのかもしれません。便は身体からのお便りと言いますが、ぜひ毎日トイレでチェックしてみてくださいね。

そして、もうひとつ菌の多様性。

腸内細菌の種類は1000種類以上あります。種類が多ければ多い方がいいそうです。

本来、人と人との関わりも、微生物の種類を増やす行為です。握手をしたり、キスやハグをしたりすれば、菌の獲得につながります。10秒のフレンチキスの間に彼らが8000万もの微生物を交換し合っているという研究結果もあります。

ですが、最近のコロナ禍によるウィルスへの脅威から、人との隔離を余儀なくさせられているので、菌種を増やすことは難しくなってきています。

さらに、私たちは殺菌・抗菌・消毒と菌を敵扱いして、人間に悪さをするウィルスや菌だけでなく、生きていく上で大切な常在菌までも、意図せず排除しまっているということをまずは知っていただきたいのです。健康のための行為が、逆に私たち人間の免疫力を低下や神経系の異常など、健康とは真逆、病気に近づけているように思えてなりません。

では、この現代においてどのようにして、腸内細菌を増やしていけばいいのでしょうか?

3歳までに腸内細菌叢は確立されると書きましたが、これが体質のひとつと考えられるのかもしれません。ですが、もちろんそれですべてが決まるわけではなく、その後の生活習慣に影響されて変化していくものですので、生活習慣を整えていくことが重要です。

やはり大切なのは「食」私たちは体内に取り入れたものから作られているのです。

気を付けるポイントとしては

・自然農や有機栽培・無農薬の旬の野菜を食べる。

・食品添加物をできるだけ避ける。(加工品購入の際には、表示をチェックしましょう)

・食物繊維の多い食材を食べる。

・発酵食品を摂る。(そもそも発酵食品は微生物の働きによって作られています)

・日本産、できれば近郊で採れたもの(身土不二)・・・※詳細後述

・日本人の腸に合った和食を摂る。

ま=豆

ご=ごま

わ=わかめ(海藻)

や=野菜

さ=魚

し=椎茸(きのこ)

い=芋

そして、土に触れましょう!!!

化学肥料や農薬を使っていない畑や田んぼに行ったり、山へ行ったり、家庭菜園をしたり、

微生物のいる自然の環境に身を寄せることも常在菌を増やすことにつながります。

都会に住んでいて、なかなかその機会がないという方は、弊社AgriPoucher®をご活用くださいませ。

都会にいながら、マンションの上層階に住みながら、土を触れることが可能です。

※日本産、できれば近郊で採れたもの(身土不二)と先ほど書きましたが、人の身体と住んでいる風土には密接な関係があり、自分が生きている土地のものが一番健康にいいという考え方です。

私たちは外から取り入れたものを微生物の力を借りて、消化・分解・吸収・排出し、命をつないでいます。

自分のことを人間だと思っていますが、自分自身の持つ細胞数よりはるかに多い菌たちの住処でもあります。もちろん一部、私たちにとって危険な菌もいます。ですが、ほとんどの菌、微生物は私たち人間の内外で命を支え、守ってくれている「大切な存在」です。共存共栄。運命共同体なのです。

見えないから存在しないのではなく、見えないけど、そこに存在しているのです。それも、驚くほどたくさん。

私の尊敬する方はその存在を「小さな精霊たち」と呼んでおられました。なんだか神秘的で愛おしくなりませんか?

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参考図書『病気にならない暮らし事典』本間真二郎著

『土と内臓』D・モントゴメリー+A・ビクレー著

『いいことおしえてあげる~びせいぶつのひみつ』塚本久美子・吉田奈央子

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