循環のチカラ③

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「循環」をテーマに2回書いてきました。

1回目は生命の循環。

2回目は水の循環。

今回は、また違った角度で考えてみたいと思います。

世界トップクラスの循環型社会が日本に?

日本はかつて約2世紀半にも渡り、世界トップクラスの循環型社会を築いた時代がありました。

徳川家康が征夷大将軍になり天下を治めた江戸時代です。

この時代、江戸の人口は推定で100万人〜125万人と言われ、なんと、世界最大の都市でした。

この間、国内での戦争もなく、鎖国をしていたということもあり、まるでガラパゴス諸島のように独自の発展のをしていったようです。当然、諸外国との国交もないので、資源や食糧、生活に使うエネルギーを全て国内で賄うことができていました。

人口も約3000万人で、250年もの間ずっと安定していたと言われています。

また、化石燃料もほとんどありませんでした。

修理したり、回収して再生したり、ありとあらゆるものが姿を変えて最後まで使い切る工夫と、ものを大切にする文化が当たり前の時代でした。

かけてしまったり、割れてしまった陶器を修繕する金継ぎの技術は安土桃山時代に生まれたと言われていますので、ものを大切に使うDNAのようなものを日本人は持っているのかもしれません。

江戸時代にもその土台があってか、金属修理を専門とした業者の「鋳掛け」、桶や樽を修理する「たが屋」、汚れたり破損で見えにくくなった鏡を磨く「鏡研ぎ屋」提灯の貼り替え業者などのさまざまな修理専門の業者から、一度使った紙をすき返して再生紙を作る職人や4000軒もいたと言われる古着屋、火を灯したロウソクのしずくを買い集める業者など、現在のリサイクル業のような業者もたくさんいたようです。

人々の生活も非常に環境に寄り添ったものでした。

空調設備のない江戸時代には、暑さしのぎに打ち水が使われていました。

人が暑い日に汗が気化する力で皮膚の温度を下げるのと同様に、暑い日には地面に水を撒いて気化冷却する力で涼をとっていました。

家を建てる向きも風の通り道ができるように設計され、水や風などの自然のエネルギーで快適な生活をしていたようです。

まさに江戸時代はエコ時代だったんですね。

当時の江戸が今では一番最先端の都市になるかもしれません。

今の日本は?

現在の日本は約88%のエネルギーを諸外国に頼っています。2019年の統計になりますが、世界1位のノルウェーはエネルギー自給率が816.7%であるのに対し、日本は世界35位で12.1%という数字です。

食料に関してもカロリーベースで60%ほどが輸入に頼っています。同じく2019年に農林水産省が発表した数字によれば、1位のカナダの食糧自給率がカロリーベースで233%ですので、カナダは38%の日本の約6倍の自給率です。

その他、これまでもこの地球Laboジャーナルで書いてきましたが、水質や大気の汚染、海洋汚染、森林破壊など、化石燃料に頼るようになり、大量生産・大量消費の時代になると、私たちは環境問題と直面するようになりました。

これらの問題は、当然ながら他の生態系にも影響を与え、生物の多様性が失われていってます。

便利な暮らしと引き換えにあまりに多くを失っていってるのです。

ここから目指す循環型社会

どこからか、壊れたら修理して使えなくなるまで使い続けるというスタイルが消えて、壊れたら買い換えるというスタイルが定着してしまい「まだ使える」「もったいない」という考え方が薄れていってしまっているようです。

でも、一度「循環」というところに意識を向けると、いろんなところに視野が広がり、その先には優しい毎日と穏やかで和やかな世界が広がっている気がします。

人と人のエネルギーもまさしく循環。

自分の暮らしを丁寧にしていくことから、人と人の間にも暖かい雰囲気が生まれ、その輪が広がって、小さなコミュニティから大きなコミュニティへと拡大し、人間以外にも広まっていくと、今度はその循環で、自分達の暮らしが心豊かになって、循環が生み出すエネルギーでどんどん満たされていくような気がします。

人は地球のガンだという言葉を聞いたことがあります。

今のままでは、あるいはそうかも知れません。

まずは小さな優しい循環を起こしていくことが、その解決の糸口になっていくのかもしれませんね。

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