森づくりは地球づくり

2004年の7月に『地球では1秒間にサッカー場1面分の緑が消えている』という本が発売されました。

内容は当時の地球上で集められた様々なデータを世界中の若者に伝えようと、わかりやすくまとめられたものでした。

そこには赤裸々に、当時の「地球の今」が語られていて、18年前の私の行動のひとつの指針となった本で、今も大事に持っています。

・ヨーロッパのアイスクリーム消費高と同額(110億ドル)のお金があれば、地球のすべての人に安全な水を供給できるというデータもある(『地球白書』2004−05』)

・日本のスーパーとコンビニエンスストアで売れ残りとして捨てられている食糧(年間1131万トン)は世界の食糧援助総量の1000万トンを上回る(平成15年度農林水産省による報告及び国連世界食糧計画資料)

・地球では、1分間に21人の子供が5歳の誕生日を迎えることなく亡くなっている(国連開発計画2003年年次報告)

データとしては古いものの、久しぶりに手に取って読んでみて、今でもいろいろと考えさせられる内容でした。

国連の報告によると、2015年以降の今も東京都ほどの森林が週ごとに失われているそうです。

2010年から2030年に失われると予想される森林の80%は下の地図の11ヶ所だと言われていて、その原因の元となるのは、人間の開発によるものです。

農作地への転換、鉱物を採掘したり、木材や紙を作るために伐採されており、しかも、そのほとんどがその地で生活するためのものではなく、より多くを消費する国へと流れ着いていきます。

生態系豊かなコスタリカの森と日本の森

2000年ごろのことですが、私は環境保護先進国と言われるコスタリカでエコツアーに参加しました。

コスタリカは国土面積の4分の1が国立公園や自然保護区に指定され、地球上すべての生物種のうち5%が生息すると言われています。

原生林の中を歩いたり、国立公園をめぐるツアーはとても素晴らしく、様々な種類の植物、野生のワニや、水の上を走るトカゲのバジリスク、猛毒のカエルや木陰で連なって休むコウモリ、木の上でゆっくりと動くナマケモノを実際に目の当たりにしました。ジャングルの中のロッジに宿泊し、夜に海亀の産卵を見て、朝起きると、すぐ近くに野生のオオハシというカラフルで大きな嘴の鳥がつがいで木の枝で休んでいたり、一人旅でしたが、とっても刺激的で今でも忘れられない旅になりました。

日本の森はどうでしょうか?

森には天然林と人工林が存在します。

日本に存在する森林は約2500万haで人工林は1000万ha、天然林は1300万ha、その他が200万haと言われています。

天然林は生物の多様性が見られ、木々の種類も様々です。

苔類やシダ植物、キノコなどの菌類も存在し、足元を覆う落ち葉は地面をしっとりと湿らせて、土がしっかりと水を含んだ状態となり、地表から染み込んだ水は鉱物の情報を取り入れながら、さらに深く染み込んだ後に小川となって流れ、さらに森を豊かにしながら海へと流れて行き、最終的には海の生物も豊かにしてくれます。

微生物も豊富で、ここではきちんと自然の循環が行われています。

一方で人工林は、スギやヒノキなどの針葉樹が多く植えられています。

単一の木で覆われた山の人工林は、天然林とは明らかに違った様相を見せます。

土は乾燥していて、多様性もないため微生物も活発ではありません。

スギやヒノキは植林する際、挿し木で育てます。

そうすると、通常は真下に伸びて行くはずの根が浅いところでとどまってしまい、雨水が地中深くまで染み込まないようになってしまいます。

地表は雨が流れて行ってしまい、土もすぐに乾燥してしまうのです。

昨今の土砂災害や河川の氾濫の原因は。こういったところにあります。

また、針葉樹は山で暮らす動物たちの餌となる木の実をつけないため、動物の生態系も崩してしまいます。

人里に熊や猿、猪が出たりする原因も、ここにあるのです。

拡大造林政策

戦後、復興に使われる建築資材や燃料を補うことを目的として、木材の需要が急増。ところが、戦時中に乱伐したことが災いして森林が荒廃してしまい、政府は「拡大造林政策」を行いました。スギやヒノキなどの針葉樹は早く育ち、建築用にも経済的に価値の高いため、紅葉樹が伐採された跡地に針葉樹が植林されていく流れとなりました。

元々は雑木林の天然林から採れる木材は、農業に使われる肥料や家畜の飼料として優れていたり、家庭で使われる燃料として使われており、人々の生活に非常に重要な位置を占めていました。そこから燃料のエネルギー源が電気やガス、石油などに置き換わるようになると、人々は燃料としての木材には価値を感じなくなりました。そこで、建築資材として針葉樹が重宝されるようになると、それが造林ブームの後押しとなって、たった15〜20年の間に現在の人工林総面積の約1000万haの約4割が造林されました。

そして昭和39年に木材の輸入が全面自由化になると、国産の木材に比べて安い外国産の木材は一気に需要が高まります。年々輸入量が増える一方で、値段が高い国産の木材は需要が落ちていき、結果として人工林は放置された状態となりました。

それでも政府は平成8年まで拡大造林政策を見直されることはありませんでした。現在、日本は国土の67%が森林でありながらも、木材の8割を輸入に頼っているという、おかしな状態になっているのです。

今こそ、国産の木材を見直し、生態系のバランスを取り戻せるような植林と、天然林の保護に着手するタイミングです。

森は海の恋人

山や森が豊かであることは、海を豊かにすると先ほど述べました。

多様性の豊かな森は、落ち葉などが微生物の力で分解され、地層に染み込みながら自然の力で濾過されていき、ミネラルなどを豊富に含んだ水となって川に流れていきます。

この川から流れてくる水が植物性プランクトンを増やし、それらを捕食する動物性プランクトン、貝類などが豊富になり、またそれを捕食する小型魚から中型魚や鳥、大型魚へと豊かな生態系へとつながっていきます。

全ては支え合う、循環の中で成り立っている。繋がっているのです。

このことは私たち人間の体でも同じことが言えるのではないでしょうか?

そう捉えると、地球は一つの生命体で、私たちはその縮小版なのかもしれません。

自分の体を想うように地球を想う。

テーマは大きいですが、みんなで取り組めば地球はどんどん良くなっていくと心から信じています。

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