突然ですが、質問です。
- コーヒーは好きですか?
- チョコレートは好きですか?
- ファストファッションは好きですか?
今、何気なく飲んでいるコーヒー、どこの誰が栽培したコーヒーでしょう?
そんなことに意識を向けたことがありますか?
質問攻めでごめんなさい。
でも、少し考えていただきたかったので、
このスタイルで始めました。
たとえば、いつも飲んでいるカフェのトールサイズの
コーヒーが330円。
そのうち、生産者の農家さんに入る金額はいくらだと思いますか?
実は、私たちが支払っているコーヒー代の
わずか1~3%程度、3~9円と言われています。
東京の喫茶店の平均419円のうち、タンザニアのコーヒー農家には0.4%の1.7円というデータもあります。
日本で豆や粉を購入する場合、コーヒー豆は1キロ当たりだいたい3000~5000円。生産者には約40円。コーヒー豆を果実から取り出したり、分別作業をしている女性は、1日8時間労働で日給0.5ドルと言われています。
コーヒー農家だけではありません。チョコレートの主原料であるカカオの生産者も同じような状態です。
コーヒーは大きな農園で栽培しますが、カカオは森の奥に住む個人農家がほとんど。貧しくて車を持てないので、カカオの売買は仲買人が買い付けに来ます。立場が弱いので、言われるがままの安い金額でカカオを販売することになります。生産者たちは、そこで搾取されていることに気づいてもいなければ、自分が育てたカカオがどうなっているのかも知らないし、ましてや高価なチョコレートなど食べたことがない人がほとんどです。
コーヒー農家やカカオ農家では、子どもたちは一緒に農作業をしています。お手伝いのレベルではありません。低所得なので生活が成り立たたないため、少しでも生産性を上げるために、子どもたちは学校に行かず、刃渡りの大きななたを使っての開墾や草刈り、60Kgにおよぶカカオの実やカカオ豆の荷を頭に載せての運搬など、危険な労働をして健全な成長を阻害されています。それでもなお貧しい生活を強いられているのが現状です。そして、少しでも生産性を上げるために必要以上の農薬が使用され、環境が破壊されたり、生産する人の健康に害を及ぼしたりといった事態も起こっています。
カカオの主要原産国であるガーナなどでは法整備が進んでおり、義務教育は保証されてはいます。ただ、近年カカオの国際取引価格が低水準になり、気候異常でカカオの収穫高が上がらないために、カカオ農家の収入はますます低くなり、子どもの教育や将来への投資にかけられる余裕は、どんどん減っていきます。義務教育は無償でも、着ていく服や学用品が購入できないのが実情です。
それだけではなく、そもそも教育の必要性も理解していないし、行政が行う環境整備もまだまだ整っていないなど、カカオ農家が貧困から抜け出せない要因は、複雑に絡み合っています。
「世界の子どもの10人に1人」
日本で生活していると見えてきませんが、世界的に見れば、1億6000万人の子どもが教育の機会を奪われ、危険で有害な労働をしています。さらに不幸なことに、食いぶちを減らすために、人身売買に出される子どももいて、もっと過酷な強制労働を強いられていることも事実としてあります。
安価なコーヒーやチョコレートが手に入ることを、私たちは手放しで喜んでいいのでしょうか?
チョコレートのひとかけらに感謝をして、食べたことがあるでしょうか?
コーヒーやカカオの価格は、生産者が一切関与しない所で決められています。これは、植民地時代の名残なのかもしれません。強いものが儲かる仕組みの中で、人権が全く守られていません。
日本でも江戸末期、1858年に日米修好通商条約を締結して以来、オランダ、ロシア、イギリス、フランスと不平等条約を結び、理不尽な貿易をしていた時代を経て、明治維新、日清・日露戦争と戦い抜くことで、世界に国力を示し、ようやく1911年、実に締結後50年以上の時を経て、関税自主権を回復したという歴史がありますが、
コーヒーやカカオなどの輸出国では、過去のことではなく、今現在、起こっていることなのです。遠い国のことではありますが、私たちが普段あたり前に飲食していることと直結しているということを、まず知る必要があるように感じます。
そして、食に関するものだけではなく、ファッション業界でも同じようなことが起こっています。
2013年4月24日、1,000人以上が死亡する事故が起こったバングラデシュの首都ダッカ近郊の縫製工場が入った商業ビル「ラナ・プラザ」が崩落したニュースや、中国の新疆ウイグル自治区の綿製品などが少数民族、ウイグル族の人たちの強制労働で生産された疑いがあると国際的に批判が高まり、日本の大手企業も現地で生産された綿製品の使用を見直すなど対応を迫られているニュースなどは記憶に新しいのではないでしょうか?
「かわいそう」と同情するのは違うと思います。同情は、自分の感覚を相手に押しつけてしまうからです。同情ではなく、関心を持ちませんか?
彼らに劣悪な生活を強いている原因が私たち自身にあるのだとしたら、生活や意識を変えていく必要があると思います。
フェアトレードという言葉をご存知でしょうか?
直訳すると「公平・公正な貿易」という意味ですが、発展途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することを通じて、立場の弱い途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す取り組みになります。
フェアトレードジャパンのHPに「3分でわかるフェアトレード」という動画がありました。よろしければ、参考になさってください。https://youtu.be/2NlAsvOsPlQ
フェア・トレード製品の流通は、イギリスでは焙煎粉コーヒーの約2割、アメリカで全コーヒーの約2%がフェアトレード。日本ではレギュラー・コーヒー市場においては0.2%程度。フェア・トレードの意識はまだまだ低い。だからこそ、関心を持つ人が増えてほしいと思います。
私自身、なんとなく知ってはいたけど、特に何もしていなかったのが正直なところです。
今回コラムを書くにあたり、いろいろ調べていく中で、一人でも多くの方に知っていただくために声を上げたいし、自らの生活の中での選ぶ基準や消費に対する意識を変えていく必要を強く感じました。
これまで幾度となく「断捨離」をしてきました。
気がついたら、あふれかえっているクローゼット。食べずに腐らせてしまう食品。
必要以上に買うからモノがあふれてくるのです。
「安いから」「とりあえず」
そんな風にムダにお金を使うのではなく、価値のあるものにお金を使っていきたいと思います。
フェアトレード製品には、コーヒやカカオやコットン製品以外にも、バナナやスパイス、砂糖、ジャム、はちみつ、ごま、ワイン、大豆・豆類、 切り花、ボール類などがあります。徐々に全国各地で見ることができるようになってきています。
国際フェアトレード認証マークやフェアトレード団体マークのついているものや企業が独自で取り組んでいるものもありますが、フェアトレード製品を選ぶ消費者が増えることで、世界のどこかの子どもたちの笑顔が増えます。
小さなことでもいい。まずはできることから始めませんか?
社会を変えるのは政治家ではなく、私たちひとりひとり。
変えてもらうという受け身な姿勢や、どうせ無理とあきらめるのではなく、積極的に行動することで社会は変わると思います。