「自然欠乏症候群」という言葉をご存知でしょうか?
2005年にアメリカで出版された『Last Child in the Woods: Saving Our Children from Nature-Deficit Disorder』
(日本語訳『あなたの子どもに自然が足りない』)という本をきっかけに話題になった言葉です。
都会に住み、自然に接する機会が少なくなった子どもたちは身体的精神的な問題を抱えやすいというもので、
現代人の慢性的な不調の原因のひとつだとも言われています。
自然と遠ざかった生活。
虫捕りをしたことがない。裸足で草や土の上を歩いたことがない。日の出を見たことがない。
そういう子どもが今、増えています。
驚くことに、魚が切り身で泳いでいる絵を描く子どもがいると聞いたこともあります。
自然の中でいろんな体験をして、五感を鍛えることは生きていく上でとても大切なこと。
土に触れ、風を感じ、鳥の声を聞き、花や草の香りを嗅ぐ。
五感はそういう刺激を受けて使うことで鍛えられていきます。
五感が発達すると、直感力や想像力が研ぎ澄まされます。
直感力が高まると、判断力も高まりますし、危険なものを察知することができるようにもなります。
また、想像力が身につくと、相手の気持ちを慮ることができるようになり、コミュニケーション能力を養うことにも繋がっていきます。
更には、野山を走ったり、森を歩いたりしていると、石や木などの障害物や穴や溝などを避けながら進むので、空間認識力が養われ、人との距離感が測れるようになるとも考えられています。
自然は友達であり、学びの対象。そして、癒しです。
自然に触れるのが大切なのは、子どもだけでなく、大人にも言えること。
閉塞的な都市部で、満員電車に揺られ、会社と家との往復。
更にはリモートワークでPCを見てばかりで、
1日中、外に出ることもなく過ごしている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
不眠や慢性的な疲労、頭痛やだるさやふさぎ込み。
病院に行っても「ストレスです」「軽うつです」で片付けられます。
そんな時には自然が足りていないのかもしれません。
お休みの日に、お散歩がてら自然に触れてみるのはいかがでしょう。
「どこで深呼吸したい?」とご自身に問いかけ、思いついたところに足を運んでみてください。
そして、そこで胸を開き、大きく深呼吸してみましょう。
自然は太古の昔から、無償の愛でずっと私たち人間を癒してくれています。
人間も自然の一部。
自らの源である自然に触れて感じることで、心も体もエネルギーチャージができます。