12月も後半に入り、街にはクリスマスソングが流れ、イルミネーションが輝き、少しワクワクする一方で、寒さが一段と厳しくなってまいりましたが、みなさま風邪などお召しになられていませんでしょうか?
先日、神戸にてコンポストお話会を開催した時に参加された、最近コンポストを始めた方のご感想のひとつがこちら。
「生ごみが減ったことで、プラごみがいかに多いか気付きました!」
そうなんです!
コンポストを始めると生ごみを一気に減らすことができますが、一方で他のごみに意識が向きます。
かさの高いプラスチックごみ。これがなかなか減りません。
分別しているけど、本当にリサイクルされているのかしら?
全部一緒に燃やされているという噂も聞くけど、本当のところどうなんだろう?
そんな疑問も聞こえてきました。
何か購入するとほぼもれなくついてくる包装資材としてのプラスチック。
本来必要としているものを手にした瞬間、それは「ごみ」と化します。
例えば、スーパーでお肉やお魚を買うとトレイがついてきます。卵を買ったらパック。
お茶や水のペットボトルは毎日毎日積みあがっていきませんか?
ごみになるだけなのに…別にほしくないのに…
ほしい製品にくっついてくるから、どうしようもありません。
「私はごみに捨てないで、分別してリサイクルに回しているから、地球にやさしいエコな生活送ってます!」と自負されている方もいらっしゃると思います。私もそうでした。
ですが、ここで残念なお知らせです。
世界中でこれまで作られたすべてのプラスチックのうち、リサイクルされたのはわずか9%。残りの91%のうち、12%は燃やされ、残り大部分の79%は埋め立てられたり、自然界に流れ出して海の底に沈んだりしています。この話を聞いたとき、なんだか悲しくなりました。
プラスチックごみのリサイクルががなかなか進まない理由はいくつかありますが、一番身近な理由で言うと「汚れ」
プラスチックごみの大部分は包装容器に使われたプラスチックで、食品の包装容器も多い。リサイクルするためには、食べかすや食品の油などで汚れていると洗浄する必要があります。プラスチックは油が落ちにくいので、大量の洗浄剤が必要ですし、そもそも汚れているものと汚いものの仕分けをするにも莫大な人件費がかかります。毎日毎日大量に発生するごみを分別して、洗浄することは現実的ではなく、結局リサイクルされずに焼却や埋め立て処理に回されています。
環境意識の高い人が一生懸命きれいに洗っても、汚れたまま出す人がいて混ざってしまったら、もうそれはリサイクルには回せません。残念なことですが・・・
そして、更に衝撃的なお話をすると、「リサイクル」と表されているもの大半を、実は日本は海外に委ねています。その数は、年間およそ82万トン(2020年)に及びます。
(以前は約150万トン。減少理由は後ほど)
先ほどお伝えしたように、リサイクル処理には手間と人件費がかかるので、人件費の安い海外に輸出しているのが現状です。
そうなんです。プラごみを海外に輸出しているという驚きの事実です!
主な輸出先は東南アジアなどの途上国。一部がアフリカへ。
もともと主な輸出国は中国でしたが、中国は海外からの廃プラスチック輸入を2018年1月にストップしました。受け入れ禁止の理由のひとつは、経済成長と共に中国国内のゴミが増えてきて、処理が追い付かなくなったこと。もうひとつは、環境汚染。プラスチックごみの多くは、食べ残しや油が付いていたりする汚れたプラスチック。実際には資源としてリサイクルしにくいものばかりなので、業者は不法投棄をしたり、有害物質を焼却したり、海に流出させています。それによって深刻な環境問題や健康被害が浮上してきています。
プラスチック製品を作る過程で、プラスチックに様々な化学物質が加えられていて、それらの添加物には有害な物が非常に多く、リサイクルしたものが汚染されることもあるし、それを焼却することで作業者や近隣住民の健康被害が出ています。
これはその国の問題として無関心でいる問題ではなく、私たちが出したごみでそうなっていることに気付く必要があります。
中国が受け入れ拒否したことで、日本や各国はタイやマレーシア、ベトナムなど人件費の安いアジアの国を中心に輸出をするようになりました。しかし、それらの国でも同じような問題が起こり、輸入規制は進みつつあるそうです。当然と言えば、当然ですよね。
そんな中で輸出できなかったごみは国内で処理をしなくてはいけなくなり、輸出量が減少していますが、処理が追いついていないので、1年間に50万トン分のプラごみが行き場をなくして国内に留まってしまっています。この数字は年々増加するものと考えています。
このまま何も意識しないまま、これまでと同じ生活を送っていたらどうなるのでしょう?想像に耐えがたい未来がすぐそこに来ているように感じます。
プラごみ問題があまり国民の意識に上がってこなかったのは、こんな風にごみの処理を海外の国に押し付けていたことも原因のひとつかもしれません。ずいぶん身勝手な話です。
海外への輸出規制がされ始めたことで、本来なら最初からそうすべきだったことですが、これからは出したごみは出した人が処理しなければいけなくなります。
でもそれって国や行政の問題で、私たちにはどうすることもできないんじゃないの?と悲観的になるかもしれません。ですが、私たちひとりひとりができることはたくさんあります。
「ごみをどうするか?」の前に、ごみの量を減らす工夫をしましょう!
「3つのR」をご存知でしょうか?
①リデュース・・・ムダなごみの量をできるだけ少なくすること
例えば
・マイボトルを使って、ペットボトル飲料の購入を控える。
・スタバではマグカップやマイボトルでお願いする。
・不必要な包装、過剰な包装はお断りする。
・マイバックを持参する。など。
②リユース・・・一度買ったものはごみにしないで大切にして、何度も大切に使う
③リサイクル・・・使い終わったものをもう一度資源に戻して製品を作ること
心がける順番は、リデュース→リユース→リサイクル
そして大それ以外に大切なのが
「スーパーにあるお客様アンケートにみんなで書いて、声を上げる。」
先日あるお話会で、この「声を上げる」ことの重要性を教えていただきました。
お店は改革したいと思っていても、お客様重視なので、賛同を得られるかどうか不安で、一歩踏み出せないことが多々あるそうです。
なので、消費者である私たちが
トレイに入っていないお肉を扱ってほしい。(最近時々見かけます)
卵パックは紙容器にしてほしい。もしくはリサイクルできるシステムを作ってしてほしい。
お惣菜は自宅から容器を持参して持ち帰れるようにしてほしい。
などなど、ほんの1例にすぎませんが、お店に意見をお伝えすることで、対処してくれることも多々あります。
すぐには対応してくれなくても、何人も人が意見を出したら、改革の対象として真剣に考えてくれるでしょう。最初から無理とあきらめず、コミュニケーションを取っていくのは非常に大切です。お店に限らず、行政を動かしていくのもまた、わたしたちの意見なのです。
地球規模の環境問題を前にすると、どうしても個人の無力感を感じてしまいます。
どうせやってもムダ。
でも、社会って私たちが変わるから変わるのです。まずは関心を持って、知ることから。そこから始まります。
地球Laboのこのジャーナルでは、ごみ問題・環境問題に関するコラムもたくさん書いています。まずは知るきっかけとしてお時間のある時に過去のコラムなどもお読みいただけるとうれしいです。まずは無理なくできることから。
そして、生ごみを削減するコンポスト仲間が着実に増えてきています。すぐやりたいって方はもちろんのこと、気になっているけどためらっている方や始めたいけど不安のある方はぜひ地球LaboやAgriPouther®マイスターさんが開催しているワークショップやお話会にご参加ください。ご自身の問題がクリアになること間違いなしです。
コンポストを始めたら、
もう生ごみをごみとして捨てたくなくなった。
シンク周りがきれいになった。
ごみ捨てが楽になった。
とにかく気持ちがいい。
家族での会話が増えた。
そんなご感想をいただいています。
やってみなくちゃわからないこともあります。ぜひ自らアクションを起こしてくださいね。
地球は私たちの大きな家。ともに、美しく整えて次世代へ受け渡しましょう。
さて、今年のジャーナルは今回をもって、お休みに入ります。
毎週テーマを変えてお伝えしてきましたが、たくさんの方々に関心を持ってお読みいただいたこと、大変うれしく感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。
新年は1月23日㈪よりスタートいたしますので、引き続きお付き合いいただけたら、励みになります。
本年はお世話になりました。来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
佳き年をお迎えくださいませ。