前回の投稿で、植物と動物の共生関係による循環をテーマに投稿いたしました。
今回は水をテーマに循環を見ていきたいと思います。
地球と水と命はどこまで行っても切り離せない、重要な存在。
これまで常に共にあり、これからもこのことは変わりようのない事実ですが、この水が今危機的状況を迎えています。
アメリカの中西部では広大な農地で作物を育てるために、センターピボット農法という灌漑農業をおこなっていますが、地下水が枯渇するという状況に陥ってしまっています。
これは水の循環サイクルを超えるスピードで大量に水を使ってしまっていることが原因で、中には今のままでは50年ほどで地下水がなくなってしまうと算出されている地域もあります。蒸発した水が地下水となって蓄えられていくには数万年かかると言われていますが、それがたったの数十年で消えてしまおうとしているのもです。
また、中国では人口が全世界の20%に及ぶにもかかわらず、水資源は世界の淡水の6%しかありません。これに加え、化学物質による汚染も深刻で微生物の分解・浄化の速度を遅らせてしまうことも起きています。
循環のバランスが崩れ始めているのです。
このことはまた巡り巡って、私たち人間の元へ問題となって降りかかってきます。
今こそ、水の存在を深く知り、そして、水への感謝をあらためたいところです。
水がもたらした恩恵
地球ができてから46億年の月日が流れたと言われています。
太陽系の惑星の中で地球だけが水を湛えているのは、太陽との距離が関係しています。
近すぎれば熱で蒸発してしまい、遠すぎると今度は冷え切って氷の塊になってしまいます。
こうして太陽との絶妙な距離が水を地球上にとどまらせてくれました。
地球が生まれたての頃はマグマの塊だったそうです。
そこに氷の惑星が衝突。
マグマが徐々に冷やされ、蒸発した水はやがて雨となって降り注ぎ、土や鉱物の溶かし込みながらミネラル分を運ぶと海ができていきました。
ここまでで地球ができてから6億年。
ここから海の中に藻類が生まれ、原初の生命体が生まれたのは36億年前。海の中での生きる生物の誕生です。ここからさらに生物が陸に上がるまでまたたくさんの時間を要します。陸上にはまずコケ類やシダ類、続けて種子植物が生まれました。
そしてそこから地上の植物の光合成によって酸素がさらに増え続け、オゾン層ができたことによって有害な紫外線をシャットアウトできるようになり、海で生活していた動物が陸上に進出する流れとなりました。
陸上植物が誕生したのは4億5000万年前とされていて、それと比べると、ホモサピエンスが誕生したのはたったの20万年前。私たちは本当に膨大な時間の積み重ねの上に今を迎えているんですね。
水はその間も気体になったり、固体になったり、液体になったり。
その時々で姿を変えながら、地球に存在し始めてから、トータルするとその量は一滴も変えずに、今まであらゆる命を育んできたと言われています。
水の循環はまるで旅のよう。
雨として降り注ぐと、地中に染み込むことでミネラルと出会い、染み込んだ水が今度は川となって流れ、たくさんの動植物の命を生み出し、死を洗い流すように取り込んで、海にたどり着くと、そのミネラル分を海に残してまた蒸発。
ここから雨となって循環のサイクルに戻り、このスパイラルを永遠と続けてきました。
海に残されたミネラル分は海の生態系を豊かにし、魚たちを捕食する陸上の動物が豊かになり、陸上の動物たちの力が加わって植物が豊かになると、また他の動物たちの命となって、まるでバトンが次々と渡されていくように、何層にも何重にも複雑に絡み合って地球の営みが今この時も行われています。
水によって地球は豊かな星になってきたのです。
豊かな水の循環を次の世代にも
私たちはこの素晴らしい循環のスパイラルをこの先の世代にも残すことができるのでしょうか?残せるなら、どんな形が状態で残したいと思いますか?
水は地球の血液。水は循環の核のような存在。
水の循環が豊かになれば、今より豊かな地球になっていくはず。
大切にしていきたいですね。
※来週の地球Laboジャーナルを楽しみにしていただいている皆様、いつもありがとうございます。来週はお休みとなります。また10月17日から再開となりますので、ご了承くださいませ。