2021年11月16日

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みんな違ってみんないい

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先日、友人からプレゼントしてもらった『ひみつのひだりききクラブ』という絵本。

この絵本をきっかけに「多様性」という言葉が気になり、あれこれ調べてみました。

TVやマスコミで多様性と言うと、LGBTや夫婦別姓、人種差別、障がい者

というテーマが多いように思いますが、

現代社会において「多様性」は無数にあります。

その1つが利き手。

日本人の何%が左利きなのかご存知でしょうか?

親が左利きかどうかで数字も変わってくるのですが、

基本的には日本では人口の4.7%だそうです。(国によっても異なります。)

少数派だから、なかなかインフラが整わず、

私たち右利きの多数派が意識せず使っている

自動販売機や自動改札、パソコン、ハサミやカッターに至るまで、

多くのものが右利き仕様になっていて、

左利きの方にはその都度、使いづらさがあるそうです。

兄が左利きであるにも関わらず、

私はその不便さに全く気が付いていませんでした。

自分と違う特質を持つ人がどういう人なのか?

そこに関心を向けて、当事者の方に話を聞かないと、

わからないことがたくさんあります。

現にこの本を読んでから、左利きの人の話を聞き、

その不便さやストレスのごく一部を知りました。

利き手の違いと同様に、

「マイノリティ(少数派)」と分類される人々は

「生きにくさ」を感じていることが多いです。

この生きにくさには2つあり、1つは物質的な不便さ、

もう1つは精神的ストレス。

これらは先ほど書いたように、

自分が「マジョリティ(多数派)」の場合、なかなか気づきません。

しかも、マイノリティの精神的ストレスは、

マジョリティの何気ない悪意なき言動(マイクロアグレッション)や

無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)に起因していることが多い

という事実もあり、それは「違い」の無理解によって起こります。

「多様性を受け入れる」

現代の大きなテーマとして叫ばれていますが、

個人としての私たちは、そのテーマに対し、

何をどうすればいいのでしょうか?

このコラムを書くにあたり、いろんな本や記事を読み、

動画も数本観ました。

大変大きなそして繊細なテーマなので、

書くことを何度も躊躇いましたが、

やっぱり書こうと決めた理由が、もう1冊の本

『1/4の奇跡 「強者」を救う「弱者」の話』にあります。

大切な箇所を抜粋させていただきます。

昔、アフリカのある村で、マラリアという伝染病が猛威をふるい、

村は壊滅的な打撃を受けてしまいます。

しかし、どんなに伝染病がまん延しても、

どんなに絶滅するほどの病死者が出ても、

必ず生き残るグループがいました。

~中略~

マラリアが多く発生する地域では、

ある一定の割合で、

伝染病に強い突然変異遺伝子を持つ人がいる、ということ。

そして、その「強者の遺伝子」を持つ人が生まれるとき、

高い確率でそのきょうだいに重い障害を持つ人が現れる、ということ。

そんなことがわかったのです。

その確率は4分の1。

4人の子どもが生まれた場合、

必ずそのうち1人は成人前に亡くなってしまうような、

重い障害を持つことになります。

つまり、人間がマラリアとの共存競争に勝つためには、

マラリアに強い遺伝子のほかに、

病気や障害を持つ遺伝子も必要だった、ということです。

1/4の人が「ヒト」という「種」を絶やさないように、

障がいを引き受けてくれている。

逆に言うと、障がいを持つ人がいなければ、

その村の人たちは全滅するということ。

遺伝子科学の興味深い研究結果です。

この研究から想像するに、

現在の科学では未解明でありながら、

障がいに限らず、少数派の持つ特質には、

何かしら大きな存在理由があるのかもしれません。

だとしたら、マイノリティの人々の問題は、

その人だけの問題では決してなく、

マジョリティの人々にも関わる問題だと考えるようになりました。

これは自分の中で大きく捉え方が変わった瞬間でした。

そして、人はそもそも多面体なので、

ある特性ではマジョリティで、

ある特性ではマイノリティだったりします。

それが個性。

私もあなたも、この地球上には同じ人は1人としていません。

少数派も多数派もなく、みんな違う1人の「人」であり、

その一方で、みんな同じ「人」という生物だという事実があります。

今回、多様性というテーマについて考える中で、

「種」の中の「個」に差違があるのは当然で、

その違いを違いとして理解し、受け入れる。

そのためには、まずは「知る」ことから。

そして、自分の常識と人の常識も違うので、

自分の価値観で人を測らない。縛らない。押し付けない。

そんなことに意識をしながら、

「多様性」に対応していきたいと改めて自分の考えを確認しました。

最後は私の大切にしている言葉で締めくくりたいと思います。

「みんな違ってみんないい」

童謡詩人金子みすゞさんの言葉です。

この短い言葉の中に、

「多様性」の本質が凝縮されているように思います。

今回は、大人の読書感想文のようなコラムになりましたが、

お付き合いいただきありがとうございました。

ひとりひとりが尊重され、認め合える社会の実現のために

少しでも「多様性」について考えるきっかけになれば、

うれしいです。

参考図書

『ヒミツのひだりききクラブ」

発行:株式会社文響社 作者:キリーロバ・ナー 絵:古谷萌と五十嵐淳子

『1/4の奇跡 「強者」を救う「弱者」の話』

発行:株式会社マキノ出版 著者:山本加津子ほか 

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