気をつけたい香りのエチケット

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この世に生きる全てが生命活動をする上で必要なものの1つに「酸素」があります。

地球ができたと言われる46億年前、地球には酸素はありませんでした。

二酸化炭素、メタン、アンモニアなどで構成された原始大気が地球を覆っていたと考えられています。

そこから海ができ、海に藻が生まれ出すと、これらが光合成を行い、二酸化炭素を取り込んで酸素を排出するようになりました。

地球ができたばかりの頃は直接当たる紫外線が強すぎたり、その他の様々な理由で陸上では生物が生存できませんでした。その後、海の藻が排出した酸素が地球の周りにオゾン層を作り出し、紫外線が直接降り注ぐ事がなくなったり、地表の温度が下がったことなどが理由となって、陸上で生活する生物が生まれました。

海の小さな藻が生み出す酸素がオゾン層となって地球を覆い、陸上で生物が生活できるようになるまで、実に、20億年もの時間を要したそうです。

なんて膨大な時間…!

その恩恵から始まって、酸素が地球上に充満し、今に繋がっているんですね。

化学物質過敏症

私たちが何気なく吸っている空気ですが、空気中を漂う化学物質に日々影響を受けている方がいます。

化学物質過敏症(CS:Chemical Sensitivity)の方達です。

化学物質過敏症の原因として考えられるものは、建材・難燃剤・塗料・接着剤などから、日常的に使うシャンプー・洗剤・柔軟剤など様々です。

私たちは日々の暮らしの中で化学物質にさらされていて、これらは、飲食を通して残留農薬や食品添加物などを体に取り入れる経口曝露、化粧品や洗剤などに触れることによって皮膚から取り入れる経皮曝露、呼吸を通して香料や副流煙などを吸い込む経気(道)曝露という、3つの経路を通して人の体に入ってきます。

化学物質に対して体が起こす反応はそれぞれ違います。

全く反応がない方もいれば、皮膚に症状が出る方、下痢や嘔吐の症状が出る方、急に失神する方も中にはいるそうです。

ここで周りに配慮したいことが出てきます。

飲食を通した経口曝露、皮膚を通した経皮曝露は調べたり学ぶことで「避ける」という選択ができますが、呼吸を通した経気(道)曝露に関しては、本人が気をつけていても避けることができない状況があるのです。

香害

空気を通した化学物質の曝露は「香害」という言葉で知られています。

アメリカはこの香害の先進国で、成人の3人に1人がその被害者と言われていて、日本はその後を追っているという現状があります。

2016年6月にアン・スタイネマン教授(オーストラリア・メルボルン大学)らが行った調査では、500万人の中から1137人を性別・年齢・地域を代表するように抽出し、95%から回答を得たアンケートで、アメリカの成人の25.9%、4人に1人が化学物質に過敏であると感じていることが分かりました。

そして、この中の12.8%が実際に医師から化学物質過敏症に罹患していると診断を受けているのです。

アメリカでは公的には化学物質過敏症は認められていないので明確な診断基準はないものの、全米の成人約2億人の中の約2600万人が化学物質過敏症ということになります。

この中の86.2%が何らかの「香り付き製品」に曝露されることがきっかけで発症している「香害被害者」であり、また、76.8%が日常の生活に1つ以上の何らかの制約を受けていると申告がありました。

日常の生活の制約というのは、普通に外を歩いたり、働いたり、呼吸するといった基本的な生活の制約を差しており、実に、これだけの方が「香り」によってごく日常的な生活を送れない状況になっているのです。

日本においては、2017年の7月と8月に日本消費者連盟が実施した「香害110番」に「職場環境で柔軟剤使用者の匂いがきつく、退職を余儀なくされた」「通勤・通学の電車に乗れない」「職場の施設内が芳香剤・制汗剤・柔軟剤の匂いがしており、いつまで続けれるか分からない」などの声が寄せられています。

そして、日本の場合は、近隣からの洗濯物の香りが香害の中心となっており、国内に約1000万人の香害被害者がいると言われているのです。

イソシアネート中毒

香り付き製品についての話をもう少し掘り下げてみましょう。

日本人が最も被害を感じている香り付き製品に柔軟剤があります。

香り付きの柔軟剤に使われている香料はマイクロカプセルというものに包まれており、このマイクロカプセルはイソシアネートという化学物質が主原料となっています。

マイクロカプセルは柔軟剤だけでなく、洗剤や消臭スプレーにも使われていますが、柔軟剤のボトルキャップ1杯におよそ1億個のマイクロカプセルが含まれています。

このマイクロカプセルが弾けることによって中の香料が外に出て香りがするので、いつまでも香りが持続するのはそのためです。

香料そのものにも発癌性などの問題はありますが、実は、弾けて残ったカプセルの主原料イソシアネートは、トルエンの1万倍と言われるほど非常に強い毒性があり、皮膚や粘膜、神経を刺激したり、ごく微量でもアレルギー症状を起こすことが分かっています。

そして、一度このイソシアネートは一旦体で抗体が作られると、体は異常に反応し、アレルギー症状を強く発症してしまうのです。

もともとイソシアネートによる中毒は、建築関連の方などに職業病として多かった症状ですが、現在は一般家庭にも広がりを見せています。

良い香りを漂わせていると思っているものに過敏に反応してしまう方がいて、しかも、その香りが人によっては猛毒になってしまう。

このことを知って、ほんの少しだけ周りに配慮をすることで、誰もが安心して呼吸ができるような毎日に変わっていくのです。

(イソシアネートはポリウレタンの原料にもなり、ウレタン製のマスクを常用することがイソシアネートの曝露へとなって、今後、化学物質過敏症の方が益々増えるのではないかと一部では懸念もされています)

えしかるやミラコロ

大阪の寝屋川市に、化学物質過敏症の人も安心して行けるお店「えしかるやミラコロ(以下ミラコロ)」があります。

ミラコロは会員制の完全予約制カフェで、その空間は誰でも安心して深呼吸できるようにと「香害フリー」にしているお店です。

ただし、天然由来のアロマオイルでも、香りがきつすぎて具合が悪くなる方もいらっしゃることから「禁香」を謳っており、香りがしない人のみ会員になれるという仕組みになっています。

床は接着剤不使用、壁は昆布の化石、LED不使用、電磁波を緩和するシートを使い、通気層によって断熱効果を生み出すWB工法で、夏は涼しく冬は暖かく、水は自然から学び、天然の湧き水が生まれる仕組みを応用した次世代活水器ディレカを使用して洗剤類の使用量を削減と、とにかく自然派にこだわったお店。

オーナーの福原多恵子さんは、もともと有名ホテルのパティシエをしていて、その腕の良さから引き抜きされるほど評判の方でした。

そして、ご自身が難病を発症したことから、健康に気を使い、自らどんどん学ぶようになり難病を克服。

最初は安さを求めて業務用のスーパーで食材を購入していましたが、ご主人の誠二さんと外食に行った際に、2人とも美味しく感じなかったことがあり、もしかしたら、食品添加物が原因なのかもと感じたことから、毎日口にする食材や日用品を見直すことを始め、食材を徐々にオーガニック志向に変えていきました。

経済的なこともあり、最初は子供用に提供する食材を自然派に変えていったそうですが、子供が食べるものは母親が選ぶこと、母親が口にしているものは母乳を通して子供へと移っていくことを考えた時に、自分が知ってしまっている分その罪悪感に駆られ、今ではミラコロで使われる全てが自然派志向のものに完全にシフトチェンジしました。

そんなミラコロには口コミでお客さんが集まり、お客さん同士で学ぶお話会を催したり、みんなで声を掛け合って情報交換をしたり、福原ご夫妻とお客さんが一緒に畑で農薬不使用の野菜の栽培をしたりしています。

ご夫婦で同じ価値観で進み、オーガニックライフを大切にするお客さんとコミュニティを広げながら、今ではその噂を聞きつけ、遠方の方が来客されたり、オンラインで繋がったりとしていくことで、化学物質に敏感な方が安心して訪れることができるお店として輪が広まっています。

全国にはまだまだこんなお店がたくさんあると思います。

ぜひ、地球Laboまで情報をお寄せください(笑)

全ては繋がり

今回は化学物質過敏症、そして、香害のことを書かせていただきました。

化学物質が地球に対して与える影響を考えるということは、最初は自分のためであっても、そこから他の誰かや、地球上に生きる動植物、そして、自分たちの子や孫など先の世代のことを考えることに繋がります。

まだまだ地球には美しいところが残されています。

この美しい地球をこの先もずっと残していくためにも、まずはその繋がりを感じ、繋がりを大切にすることから始めていきたいですね。

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