皮膚を通して入ってくるって本当?

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以前のコラムで経気(道)曝露による公害について触れました。

今回は皮膚からの吸収「経皮吸収」について少し掘り下げてみたいと思います。

人が体内に物質を取り入れる経路として

①飲食によって取り入れる経口吸収

②呼吸によって取り入れる経(気)道吸収

③触れることによって皮膚から取り入れる経皮吸収

という3つがあります。

そして、上記の各経路から危険因子にさらされることをそれぞれ

①経口曝露

②経気(道)曝露

③経皮曝露

と言います。

その場に行かない、あるいはその場から逃げる以外の対策がない経気(道)曝露に関しては以前のコラム(https://chikyu-labo.com/気をつけたい香りのエチケット/)で述べた通りです。

経口曝露に関しては、悪いものを食べたら場合によっては命を失うことがあることから、自然と経口吸収には意識がいくこともあり、多少なりとも気をつける傾向があるかと思います。

皮膚の構造

皮膚は、皮脂膜・角質層・顆粒層・有棘層・基底層の5つの層からなる表皮と、基底層よりさらに奥深くにある真皮、皮下組織、筋肉という形で構成されています。

基底層には肌を守る角質を作る母細胞があり、通常、自然界にあるものなどは、分子量の大きさから、真皮など皮膚の奥まで届きません。

例えばコラーゲンは、その分子量が30万以上とされており、皮膚に塗っても肌の表面でとどまってしまって、真皮層までは届かない状態になります。

表皮は分子量が3000以下でないと通過できないことがその理由です。

真皮は分子量が800以下のものは通過していきますが、ここで気をつけたいものが、石油から精製した化学物質です。

これらは分子量が非常に小さく、皮膚の奥に浸透して血流に乗り体内へと蓄積していくこと、そして、体の部位によって吸収率がそれぞれ違うことが分かっています。

経皮曝露について

日本では、1930年代に三重大学の三上美樹博士が経皮曝露について大学で講義をしていたそうです。

三上博士は合成洗剤と放射性同意元素を混ぜた餌をラットに与えたパターンと、合成洗剤と放射性物質同意元素を混ぜてラットの背中に塗布するパターンとで、合成洗剤がどのように排泄されていくのかを比較した「吸収排泄実験」を行いました。

実験の結果は非常に興味深く、餌で与えたラット(経口投与)は7〜10日間で合成洗剤の約90%が排泄されたのに対し、背中に塗布したラット(経皮投与)は同じ期間を経ても、約10%しか体外に排出されないことが分かりました。

つまり、皮膚を通して吸収したものの排出には時間がかかり、そのものに触れてから10日ほど経過しても、約90%が残っているということになります。

皮膚には大きな出口がないため、僅かずつしか排出されないのです。

人は生まれてから一生の間、体の一部、あるいは大半の部分が何かに触れて生きています。

その触れているところから、アレルギー物質、発がん性物質、内分泌撹乱物質(環境ホルモン)、催奇形性物質などが体内に入ってきている可能性があるのです。

これらは自ら気づいて有害なものを遠ざけない限りは体内に溜まり続け、何らかの形で不調の原因となったり、癌にかかるリスクとなるケースもあります。

朝起きてから寝るまでの間に皮膚に触れる日常消耗品には本当に多くの種類があります。

顔を洗うときの洗顔剤と洗顔後のスキンケア用品、朝食後の歯磨き剤と食器を洗う洗剤、髪を整える整髪料、女性はさらに化粧品、入浴時に使うボディーソープやシャンプー類、衣服類には繊維内に残留している洗濯洗剤…

これらの日用品には癌になるリスクが実に25%も含まれていると言われています。

逆に、発がん性物質を含まない日用品を使うことは、そのリスクが25%低くなることに繋がるのです。

また、取り入れた化学物質同士が体内で反応することで起こる「複合汚染」も非常に気になるところです。

また、さらに気を配りたいのが胎児への影響です。

有害化学物質の影響は大人だけでなく、子供や乳幼児、さらには母体の中にいる胎児にまで及びます。

脳や胎盤には「脳関門」や「胎盤関門」と言われる関所のような存在がありますが、人工の有害化学物質はここを通り抜けると言われています。

胎盤を通り抜けた化学物質の影響を胎児が最も受けやすい時期は妊娠3週目〜8週目で、この時期はウィンドウ期と言われており、ウィンドウ期に受ける影響により、将来にかかる病気のリスクをプログラミングされてしまう「胎児プログラミング」という説があるのです。

また、有害化学物質の毒性の影響を受けた子供たちのさらにその先の世代にまで影響を及ぼす「継世代毒性」も懸念されます。

今の日用品の選択が、先の世代の健康にまで関わってくるのです。

何をどう選ぶか

動物実験をご存知でしょうか?

前述の三上博士の吸収排泄実験のもそうですが、他にも医薬品の開発や農薬の研究開発、化学製品などの有効性を観察する場合など、様々な場面で行われており、ニュースなどでも見たことがある方が多いと思います。

そして、シャンプーやリンス、整髪料を含む化粧品にも、この動物実験が利用されているのです。

新しいシャンプーを開発する時にいろいろな倍率に薄めたシャンプーを準備して、ある一定の期間を設けて、それをウサギの眼に点眼し、どのような影響が出るか、経過を観察していくドレーズテストというものをしています。

例えば、このテストを10日間という期間を設けてした場合、1〜10日目に眼に異常が表れた倍率のものは製品化できず、11日目以降に異常が出ても10日というラインをクリアしているので、何もなかったように製品化されていきます。

要は、どれほどの安全性かを見るのではなく、どれほどの危険性なら直ちに影響が出ないかということを見ることを目的に、この動物実験は行われているのです。

イギリスやドイツは1998年に、EUは2004年から化粧品開発の際の動物実験を段階的に禁止することを始め、2013年には完全禁止となりました。

この方針は国際機関でもガイドラインにおいて代替法を取り入れる努力を進めており、インド・ニュージーランド・台湾・イスラエルなども化粧品の動物実験は禁止になっています。

これに対し、日本では自主的に廃止する企業があるものの、まだまだ国全体で禁止というようにはなっていません。

動物実験を行なっていないことをアピールしている製品には「No animal testing」というウサギのマークがついているものが多く、安全性にも気を配っている製品選びの一つのポイントになると思います。

一言で安全なものと言っても、世の中にはいろいろなものがあります。

有害化学物質の名前を覚えて成分表を見て判断することも一つですし、すでに安全性の高い製品を使っている、身の回りの詳しい方に聞いてみるのも一つの方法です。

また、自然食品を取り扱っているお店やネットなどで探すのも良いでしょう。

私が経皮吸収のことに初めて詳しく触れたのは20年ほど前でした。

その頃に比べて、世の中には安全性に配慮した製品は多くなっていると感じます。

以前より、とても見つけやすくなっているはずです。

中には、成分だけではなく容器にまで配慮しているメーカーもあったりします。

また、全く別の視点で、利用する水の変えることで、シャンプーや洗剤を減らしたり、使わない生活も送ることも可能です。

ただし、「エコ」や「サステナビリティ」「エシカル」という言葉が先行してファッション的にその言葉が使われてしまい、深堀りをしてみると、中には全くそうではないものも存在しています。

製品という表面的なことだけではなく、製品開発への理念や方向性、それをどのように現実化しているかで判断していくことができます。

何が正解で何が間違っているということではなく、大切なのは今よりもどうなのかということだと思います。

自分で試しながら、自分の感覚を頼りに選択しながら進んでいくと、自然と学びや気づきにもなるはずです。

私も元々自然などを観ることがとっても好きで、環境問題に興味がありました。

経皮吸収のことを知って、健康について知りはじめると、健康と環境問題には密接な関係があることに気づきました。

そこが原点になり、今も勉強が続いています。

そのおかげで、触れる情報だけではなく、出会う人も変わってきました。

全部繋がっている

食べたり飲んだりするものが健康に与える影響。触れるものが健康に与える影響。吸い込むものが健康に与える影響。

全てはどのような経路で体内に取り入れているかということになりますが、根本的には有害な影響を与えるものを入れない・使わないという選択をすることで避けることが十分可能になってきます。

そして、一つ変えると、その一つだけではなく、そこからいろんなことに変化が起きるはずです。

全てにつながっているということ、あらゆることが関わり合っていることに気づきます。

そして、その目線をさらに広げた時に、地球が喜ぶ選択をすることは、巡り巡って人が喜ぶ選択になっていきます。

そう捉えると、買い物という選択をお金という投票券でしていることになります。

自分だけではなく、広く、大きく周りに心を配った選択をし続けていきたいですね。

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