AgriPoucherでミツバチを救え

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「昨日、ここでハチ死んでたね。」

ある朝、お向かいの少年が私に言いました。

そうなのです。玄関先に、ミツバチが死んでいたのです。

今年、庭に来るミツバチがとても少ない気がして、加えて昨年と比べると種類が違うということが気になっていました。

そんなこともあり、玄関先で死んでいるミツバチを見た時、引っ掛かりを感じていました。

近年ミツバチが減少していることを聞いたことがあるなぁという方も増えてきたとは思いますが、

これをきっかけに、私なりに調べてみました。

ミツバチの働きというと、言うまでもなくはちみつを作ってくれる昆虫ですが、実は私たち人間が今こうして困ることなく食事をしたり衣類を身にまとっているのは、蜂たちのおかげといえます。

ミツバチが地球上に現れたのは、約2千万年〜1千万年前と言われており、紀元前6000年頃のスペイン、アラニア洞窟に描かれた壁画には、野生のミツバチの巣から蜂蜜を採取している人の姿が描かれています。また、紀元前2600年頃のエジプトの壁画には、ミツバチの巣箱をつくり、蜂蜜を採取、保存する様子も描かれ、世界最古の養蜂とされ、そこから徐々に世界に広まっていったということです。

日本では、平安時代には宮中への献上品の中に蜂蜜も含まれていたようです。

当時はかなり貴重なもので非常に高価なものであったと想像できます。

このように、美味しい蜂蜜を口にしているわけですが、それだけでなく、世界の食料の9割を占める100種類の作物種のうち、7割はハチが受粉を媒介しています。

主な作物に、リンゴ、梨、ベリー、ブラックベリー、さくらんぼ、マンゴー、ポンカン、スイカ、パッションフルーツ、すいか、桃、梅、かぼちゃ、玉ねぎ、アスパラガス、にんじん、ブロッコリー、キャベツ、カリフラワー、セロリ、なす、ニンニク、きゅうり、アーモンド、カカオ、ナツメグ、マカダミア、などなど。

加えて、世界で消費される油脂の半分以上は植物から得られていて、ハチがいなければ生産が困難になるでしょう。

牛や羊も、アルファルファやクローバーといったハチに受粉を依存した作物を食べています。

ハチによって受粉した綿花と胡麻は、自家受粉のものよりも品質と生産量が平均62%高いことがわかっており、そのようなことも含めると、経済効果は世界全体で66兆円とも言われています。

しかし世界中のハチは、何年も前から減り続け、半世紀前に比べると半分程になってしまいました。

「地球上からミツバチがいなくなると人類は4年で滅亡する」と、アインシュタインも言っていたという記述もあります。

受粉を担うハチがいなくなれば、農地の収穫量は減り、価格は高騰、生産が困難になるものも出てきます。

食糧難も免れないでしょう。

では、なぜここまでハチが減少してしまったのでしょうか。

その原因は、一つではなく複数の要素が複合的に絡み合い現在に至ると言えます。

まず、自然林の減少。1950年代に、自然林や農園、田んぼを杉やヒノキの人工林に変えてしまいました。

人工林に変えてしまったことで餌がないので虫も動物も棲めません。

次に、感染病。

日本では明治になり、近代養蜂の技術と共に欧米から西洋ミツバチが入ってくると、元々日本にはなかった病気やダニなどが出現しました。そして、深刻なのは農薬です。

過去のジャーナルでもネオニコチノイド系農薬について触れています。

(こちら→https://chikyu-labo.com/サスティナブル農業という選択/ 

ネオニコチノイド系農薬は、神経伝達物質を妨害する神経毒です。水稲の斑点米カメムシ防除の場面で広く利用されています。夏にはミツバチが花粉を集める花が少なく、稲の花粉を求めて水田にやってきます。日本で最もミツバチが死んでいるのは田んぼなのです。

2013年度から2015年度に農林水産省が行った蜜蜂被害事例調査では、農薬が原因と考えられる蜜蜂の被害の発生は、水稲のカメムシを防除する時期に多く、巣箱の周辺で採取された死虫からは各種の殺虫剤が検出されました。それらの殺虫剤の多くは水稲のカメムシ防除に使用することが可能なものでした。このことから、分析に供した死虫が、水稲のカメムシ防除に使用された殺虫剤を直接浴びた可能性が高いと考えられます。農林水産省H.Pより抜粋

近年、農薬の中でも、特にネオニコチノイド系農薬に関しての規制については、各国様々です。ヨーロッパでは、2018年4月にEUが、ミツバチに毒性の強い3種のネオニコチノイド系農薬をほぼ全ての用途で使用禁止にすることを決定しました。フランスでは、2018年からネオニコの全種類が使用禁止になりました。ネオニコ系農薬を使わなくても収益や収穫に悪影響を及ぼすことなく、40%以上農薬を減らすことができるという研究結果も出ています。2019年にはアメリカでも、ネオニコチノイド系農薬を使った農薬製品12種類の登録(承認)が取り消されました。

GREENPEACEさん資料参照させていただきました

しかし、日本では信じられないことに禁止どころか、逆に規制緩和が進んでいるので

す。https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000126155.html

今回、玄関先で一匹のミツバチの死骸を見たことから、多くの資料を読んできました。ミツバチがいなくなると、食糧危機は免れないでしょう。そして、今のままの減少を辿っていけば、恐ろしいことにそのような未来が待ち構えているともいえます。過去のジャーナルでご紹介した、昆虫学者のマーラ・スピヴァクさんもおっしゃっているように、まず出来る小さなことからやってみてください。どんな小さなお花でも、植物でも、野菜でもいいので、育ててみてください。特定の花の蜜を効率的に集める西洋ミツバチと違って、あらゆる花を巡って花粉を媒介する日本ミツバチは小さいので気づかないかもしれませんが、都会のベランダや屋上にもやってきます。生態系を支えてくれているミツバチの住みやすい環境を、私達人間が変えていくことができると思います。

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